貴方の心を映しているからだよ
(『あおぞら』by椎名林檎から抜粋)
この曲を、発売当時の1999年辺りに聴いた覚えはない。もしかしたらその頃つるんでいた椎名林檎を好きな友だちが聴いていた可能性もあるけど、『本能』のシングルのB面ということなので、シングルを買うようなファンでもなんでもなかったので、自分では聴いていないのは確かだ。
去年、偶然この曲をApple Musicで聴いて思ったことは、大体の椎名林檎のヒット曲とは違って穏やかだけど、始まりから鳴っている「ヒュンヒュン」という電波的な(イメージ)音がなんとも(その頃の)椎名林檎っぽい。『あおぞら』というタイトルと「大切な人が遠くに行ってしまったこと」を匂わす少し悲しげな歌詞と穏やかなメロディと声とこの電波音がアンバランスにバランスを取っていてなんとも不穏だ。不穏な穏やかさというか。
で、聴けば聴くほど、当時聴いてなくてこれまでも聴いてこなかったはずなのに、どうも懐かしくて仕方ない、そんな気持ちになる。
ギターで弾いて唄ってみる。大学1年の頃の、特に何てことはない、普通に過ごしていた日々が頭の中を駆け巡る。
私が気づいていないだけで、この頃の椎名林檎の作品には共通する何かがあって、その何かがこの曲にもあって、それに私の記憶を司る脳の一部が反応しているのだろうか。この電波音がそれなのだろうか。私はこの不穏な穏やかさが私のあの頃の不安定な精神状態を思い出させているせいなんだと思う。
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もうかれこれ数年、人前で演奏する(あるいはSNSにアップする)なら、何の曲を1番目にするか、ということを考えている。もしかしたらこの曲になるのかもと思いながら今日唄っていた。
後日談、2024年7月16日追記
今日の未明、寝苦しくて目が覚めた。正しくは、夢うつつの状態が、どれくらいかはわからないけど続いていた。頭の中ではずっと、この椎名林檎の『あおぞら』が流れていた。ふと、叫び声のような人の声が聞こえて、完全に目が覚めた。一瞬だった。自分の肩と首の辺りがこわばるのを感じた。その後、いくら耳を澄ましてみても、何も聞こえなかった。私はDV体験者なので、誰かの叫び声というものは、私にいろんなことを思い出させて、一瞬にして私を恐怖に陥れる。しかし、その泣き叫ぶような声が止んだ後、何も聞こえなくなったことが、一番怖かった。時計を見た。そこからあまり眠れなかった。めまいがする。
もしかすると、私の頭の中で『あおぞら』が流れていたとき、覚醒のきっかけとなった大声とは別に、ずっとそのような声が聞こえていて、半覚醒の状態で恐怖を感じていて、その精神状態が、その音楽を私に聞かせたのかもしれない。短い夢だったけど、私は鍵をなくして困っていた。
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