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1月, 2024の投稿を表示しています

繰り返す表現のみが唯一の存在意義です

(タイトル出典: 『songwriter』by KANの歌詞を一部抜粋)  (タイトル出典がKANさんなのに、いきなりオザケンの話題で申し訳ないが)オザケンがinstagramと X で、小沢健二の作品のうち、ファンからの人気が高いと思われる『ぼくらが旅に出る理由』について言及した。ギターコードに関しての話だった(図1参照)。 図1 小沢健二公式instagram(@sokakkoii)2024年1月8日の投稿  おそらくギターを弾いたり、作曲する人にとっては、意味を理解できると思うが、私を含めた大抵の人は何のこっちゃ、だろう。でも、私も幼少期にピアノは習っていたし、ここ20年ほどギターを''触って''はいるので、どのような話かは何となく、本当に何となく分かった。和音という概念がある。単一の音ではなくて、何個か一緒に弾いて、じょわーんというあれです。それのベース音をどうするか、ということで、普通(というのも表現が乏しいのは承知の上だが)の和音に、ベースの音を追加することで、低音が響く、というか何か別の効果を付与するというか、そういう感じで、そういう点にこだわって、曲をアレンジしているよ、ということだと思う。 ********  ここで、ふと思い出したのである。KANさんの『プロポーズ』(1991年5月22日発売の「ゆっくり風呂につかりたい」に収録されているヴァージョンのもの)を。何度も何度も何度も、このブログで書いてるが、私はKANさんのファンじゃなかったけど、『プロポーズ』を特別に思っていた、平たく言えば、ずっと大好きだった。KANさんに対して、警戒''体制''を取っていた若かりし日の私だったが、そういった世の中のめんどくささのようなもの全てを凌駕するメロディの美しさがあった。音楽の専門的なことは分からないけど、三つ大きなポイントがあると思っている。一つは、イントロ部分の少し、ほんの少しうっすら感じる不安な感じ。鳥の鳴き声が少し大きすぎて、メロディから浮いてる感じもあって、それも含めて。二つ目は、1番の歌詞で言えば、「(おいこしたりは)しない〜」の箇所 (1番では2箇所、2番では4箇所、コードで言えば、Gm7) のメロディの、不安な感じとKANさんの声とビブラートの妙であり完璧なバランス。三つ目は、2...

きむらの和菓子(書籍のレビュー)

  KANさんがこの世界ではないどこかに出発されてから、KANさんの歌詞集があるということを知った。KANさんのファンでもなんでもなかった私だが、『プロポーズ』という曲はいいなと長年思っていて、LOVEソングなんだけど、歌詞が少し独特だと感じていたので、その解説が読めるなら読みたいと思って、タワーレコード新宿店に在庫があるというタワレコ新宿店のtweetを見たので行ってみたが、なかった(その後また補充されたようだったが)。しかたなく、amazonの定価より少し高くなっていたものを買った。 “しかたなく”というのは「amazonは契約労働者の搾取の問題がある」し、「定価との差額が、別にKANさんをサポートするわけではない」からだ。  ちょっと話がずれたけど、とにかく年末にその本が届いた。まず思ったことは、どこにどの歌詞があるか分からない。 目次自体も見つけにくい。さらに、アルバム別とか年代別とかあいうえお順とかではないので、曲が並んでいる順番に規則があるのかどうかも分からない。...と「ないないづくし」の読者泣かせな書籍なのである。もしかしたら、私が一見さんだからかも知れないが。(ここまで読んで、否定的なレビューだと決めつけないで、最後まで読んでね❤)  普段、なかなか歌詞を読むということもしないのと、KANさんについては、まだまだ知らない曲の方が多いので、曲を聴く前に歌詞を読むというのはどんなものか、ちょっと新鮮な気もした。とはいえ、『プロポーズ』の歌詞は諳んじることができるので、 この曲については歌詞ではなくて「本人による曲の解説」を読みたかった。  ところが、なかなかそれが見つけられない!始めの方に出てくる目次には『プロポーズ』がなく、焦る。もしかして載っていない?そういや歌詞集であるということ以外、何曲載っているのか、全曲載っているのか、全ての解説があるのかすら分かっていない。   幸い、すぐに『プロポーズ』のページは見つかった。解説らしいものも読めた。ふーん、そうなのか!(ネタバレになるので言及しないでおきます❤)  この仕様(曲の順番、章分けの意図が明記されていないこと、また、章によって解説記載のデザインが一様でないことなど)はわざとなのだろう。こんなのおそらく長年のファンでも迷宮入りすると思う。わざとなのだ。だってその方が楽しいもん。どこに載っ...

君はいないんだね

  12月以来、KANさんの音楽をずっと聴き続けている。2023年の終わりに、「そもそもファンじゃなかった私が、KANさんの不在を感じることはない」と書いたけど、新生ファンなもので、色んな情報を求めて、年末からずっと、インタビューとか、書籍とか、X(旧twitter)で他のファンの方のtweetなどを読んでいたら、日に日に、KANさんの不在を強く感じるようになってしまった。   KANさんの音楽を聴き進めていくうちに、KANさんのパフォーマンスに魅了され引き込まれ、そう か、私はKANさんのライヴパフォーマンスを、未来永劫体験することはできないのだな…と強くKANさんの不在を認識し、深い絶望感が押し寄せてくる。ファンの方が、昔のライヴやラジオ番組などの思い出話をしているのを見て、くやしいと思う。でも、そんな絶望の中でも、逆説的だが、KANさんの音楽は、大丈夫、悲しまないで、怒らないで、KANさんが残してくれたものがたくさんあるよ、と私を慰め励まし、さらには前向きな気持ちになれる場所まで連れて行ってくれる。気がする。  しかし、そもそも『丸いお尻が許せない』が許せない私にとって、KANのファンになるというのは、人生における結構なチャレンジだと思う。『丸い...』以外の曲でも、タイトルに戸惑い、言葉に戸惑い、内容に戸惑い…。思想的に...特に彼の社会認識や政治思想などに、色々、本当に色々と引っかかる。引っかかっては、その都度、彼の言葉やメロディにさらに耳を傾け、どういうことを言っているのか、理解しようとする。年末に届いたKANの歌詞集「きむらの和歌詞」を手に取って、曲の解説として何が述べられているかな、何か述べられていますように、と祈るようにページをめくる。  真意を知りたいと思う。真意までは到達できないとしても、せめて意図を知りたい。いや、それも難しいなら、この際、意図があるのか、意図がないのか、それだけでもいい。  そんなことを繰り返して、KANさんがこの世界に居ないことに打ちひしがれた。 ********  aikoが、上述の書籍の帯で「(長年ファンをしているけど、まだ分からないところがたくさんあって: 意訳)魅惑の男なんです」と言っているのを見て、それなら私も既に気づいている、と思った。数十年来のファンの人には、熱量は到底かなわないし、挑めないなんてこと...